津田 卓二

ISVPS 歯科口腔外科有資格者
  • 日野どうぶつ病院
  • 岐阜県岐阜市日野南7−6−13
  • 犬の歯磨きについて

    東京都 トイプードル・5 才 7 ヶ月・メス(去勢・避妊済み)

    こんにちは、津田といいます。
    ご相談にお答えしたいと思いま こんにちは、津田といいます。
    ご相談にお答えしたいと思います。
    (1)犬の歯磨きは、歯周病予防と、ひいては全身の健康管理のためにも毎日した方が良いです。
    特に、みーちゃんさんのワンちゃんのように、超小型のワンちゃんは、時に3〜4歳頃から、歯周病によってポロポロと歯を失うことがあります。沢山の歯周病の動物の口の中を見ていますと、非常にプラークがつきやすいと感じる動物を見ます。そういうワンちゃんは毎日1回の歯磨きでも足りないのでは、と思うこともしばしば。体格が小さくなればなるほど、その傾向は強いと感じます。ぜひ、できる限りのオーラルケアを、歯ブラシを使って毎日根気強く行っていただけたらと思います。

    (2)歯磨きガムやデンタルトイでも歯のケアとして良いかとのことですが、物によりますが、良いものであっても、ブラッシングほど十分ではないと考えています。
    まず、よくないものは固すぎるものです。乾燥したひずめ、豚ミミ、ヒマラヤンチーズ、鹿の角、プラスチック製の、時にデンタル用などと書かれた固すぎるオモチャを噛ませていると、歯を折ってしまうことがあります。大抵その折れる歯は、上顎第4前臼歯といって犬では最も大切な歯なのです。運悪く露髄といって、神経が見える折れ方をしますと、抜歯か根管治療という専門的な治療のどちらかを選択せねばならなくなり、当然そのためには全身麻酔が必要になります。放置は厳禁です。根管治療の詳細は長くなりますので割愛しますが、綺麗さと引き換えに歯を折ってしまっては元も子もありません。
    そのような問題が起きない柔らかいガムやおもちゃでは歯ブラシによるケアほど行き届くわけではありませんが、全くブラッシングをさせてくれないワンちゃんにとっては、やらないよりはマシかもしれません。
    また、固すぎないけども、摩擦の大きなもの、例えばテニスボールのようなおもちゃは、歯を折ることはありませんが、摩擦によって歯が削れてしまうことがあります。これも、時に露髄することがあり、治療は抜歯か根管治療の二者択一となりますので、ご注意ください。

    犬猫でも人でも、オーラルケアは日々の積み重ねが大切です。できることから、コツコツと毎日頑張ってくださいね。
  • ベスト
    アンサー

    高齢犬の抜歯手術について

    北海道 チワワ・16 才 11 ヶ月・メス(去勢・避妊済み)

    こんにちは、津田です。
    大変良くあるご相談です。
    いろん こんにちは、津田です。
    大変良くあるご相談です。
    いろんな要素をよく考えて決断する必要があります。
    (1)まず、体の大きい小さいは麻酔を心配する大きな要素ではありません。麻酔のリスクは、簡単に言えばいかに健康的かどうかです。
    人でも元気なご高齢の方もみえれば、若いけど健康ではない方もみえますね。具体的に13歳というのは高齢ですが、麻酔が特別に心配な年齢とは私は思っていません。数年前にオーストラリアの麻酔専門獣医師のセミナーを受講した際、犬は10歳以上は血管が老いてくるので、皆腎不全のリスクがあり、すなわち麻酔のリスクはあるということでした。
    私の身近な麻酔専門獣医師からは、高齢の場合は、1回の長い麻酔時間より、複数回の短い麻酔のほうが、リスクは低いだろうと聞いています。幸い、口の手術は、頃合いを見て中断することは割としやすいかもしれません。右上顎だけまず抜歯をしようとか、区切りをつけて安全な状態のうちに終えることができます。例えば、お腹の中の手術を複数回に分けることは嫌でしょう?
    (2)口の手術を受けてみないと実感として分からないことですが、口腔環境が著しく悪化している多くの動物はQOLがかなり低下しているものです。そのような動物は、お口のトータルの治療をきっちりと行うことで、手術後に大きなQOLの改善が見られることが多くいです。
    (3)歯周病の放置は、体の他の臓器に悪影響を及ぼすことは人も犬も周知の事実です。
    (4)問題なく手術ができるかは年齢が最優先に考慮する事項ではありません。体全体をしっかりと評価することです。また、獣医の世界でも麻酔専門獣医師の登場により、麻酔疼痛管理は昔と比べれば雲泥の差で進化しています。
    (5)ご質問にはないことですが、高齢動物で考慮しなければならないことがもう一つあります。それは、その動物の天寿がいつであろうと、できる限りのことをしてあげたいと思われるかどうかです。13歳ですと、正直いつ寿命が訪れるかわかりません。1ヶ月後か3ヶ月後か半年後かもしれません。仮に3ヶ月後に天寿を全うしたとしても、お口の問題、痛みや違和感を可及的に取り除いてあげて、より健康的な生活に整えてあげられて良かったと思えるかどうか。これは飼い主さんしかわかりません。

    やってあげたいと思われているのであれば、信頼できる動物病院で、勇気を出して1日も早く実施されるのをお勧めします。それだけ早く苦痛から解放されますので。
  • ベスト
    アンサー

    歯のトラブルの時はどうしたら良いのでしょうか?

    埼玉県 チワワ・7 才 11 ヶ月・オス(去勢・避妊済み)

    こんにちは、津田といいます。
    ご質問が1年余りも前ですが、 こんにちは、津田といいます。
    ご質問が1年余りも前ですが、同じような悩みを抱え得られる方も見えると思い、回答させていただきます。
    まず、ご質問に対する回答から。
    犬の歯科専門医でなければ、グラグラした歯を抜くことはできないわけではないですが、歯科治療をしっかりできる獣医師に診察を受ける方が良いです。

    ご自身で抜くことをお勧めしたい理由としては、(1)場合によっては途中で歯が折れてしまう可能性があります。となると、根っこの一部が残り、それが原因で眼窩下膿瘍など歯が原因となる病気になってしまう可能性があるからです。(2)チワワやトイプードルの3kg未満ぐらいの小型犬では、場合によっては3歳ごろから歯周病によりポロポロと歯が抜けてくる動物がいますので、その歯1本だけが病気になっているわけではない可能性があります。すべての歯の検査(主に歯肉溝深さの測定)と歯科レントゲン検査により、1本1本調べて、治療を行った方が良いでしょう。

    歯石は実は根本的な原因ではありません。歯周病の原因はプラーク(バイオフィルム)です。プラークの色は歯の色調と似ており、歯にプラークがついているかどうかは、一見して分からないものです。綺麗に見えてプラークはたくさんついており、すでに重度の歯周病に侵されていることはあります。歯石の問題点は、歯石の表面がざらざらしており、プラークがくっついて剥がれにくいため、歯周病の原因が除去されにくいということです。

    全身麻酔の是非は、体の大きさだけで判断するわけではないです。年齢だけでもありません。いかに健康状態が良いかということが重要です。どんなに大きくても、またどんなに若くても、重い病気を持っている動物の麻酔のほうがリスクは高いです。血液検査、レントゲン検査、超音波検査などで麻酔前検査をしっかりと行って、慎重にことを進めてゆきましょう。

    以上、参考になれば幸いです。