アンサー
片山政都 ロイヤルカナン認定栄養アドバイザー、救命救急資格
ブルーム動物病院
- 得意動物: 犬 猫 得意分野:猫伝染性腹膜炎(FIP)、呼吸器科、栄養アドバイス
はじめまして。よろしくお願いします。横浜市のブルーム動物病院
の片山です。
当院ではFIPの治療に力を入れております。
最初の経過、発熱があり、体調も悪く、神経症状出ている、若いことから疑いはかなりあると思います。ブドウ膜炎パネルでコロナが血液から検出されていないですが、これだけでFIPではないと言い切れません。ドライの神経型(ステージ後期)やブドウ膜炎型(ステージ中期)では症状から疑わしくても血液PCR検査で検出されないことはざらにあります。しかし、検査会社によりPCRの感度と特異度は多少変わりますし、ステロイドが検査前に入っていると偽陰性もでます。
また、今回のケースでまずいのはCFNやGS注射を使っていること、経過が詳しくわからないので正確ではないのですが治療が途切れていたり、薬剤が変更されていたりすることです。CFNやGSの注射はお薬の濃度が不鮮明なものが多いです。薬の見極めが難しいかともいます。そのため当たりはずれのバクチで薬剤の選択をするよりかは、論文ベースで確実に効果が期待できる薬剤の選択をした方が良いかと思います。GS注射やCFN、スパーク、レムデシビルの使用で経過不良になっている子を少なからず見たり、話で聞いたりします。また一度薬剤の使用をしたのに中断などしてしまうとお薬の耐性が出たり、再投与しても効かなくなってくることもあります。きちんとした投薬量をしっかりした期間使うことが大事です。ただせさえ100%死んでしまう病気’だった’FIP、ちゃんと治療しないと助かるものも助かりません。
MRIに関しては、私は専門ではないので確実なことはいえませんが、ほとんどの場合、MRI検査でFIPは画像的に特徴的な所見があるのか診断されてくることが多いため疑いはかけられるかと思います。脳脊髄検査は、状況を間違えて行うと脳herniaなど起こすことがあるので安易に抜くことはしないのが正しいかと。
結論として、今回の場合はFIPの疑いはあるかと思われます。まずはちゃんとした薬剤と正しい投薬量で2週間から1か月、ステロイドも併用して、状況が悪ければマンニトールなどの脳圧降下剤も使用して管理して、反応を見るべきです。反応があればFIP、反応がなければ違う病気の線を疑うのか、FIP薬剤の変更を考えていくべきかと思います。FIP治療は早期発見早期治療が救命率を上げます。FIPをかなり専門でやっている病院に速やかにいかれることをお勧めします。
2022/10/16 08:46