非再生性の溶血性貧血について

2022/05/09 17:07

ベスト
アンサー

中井 千恵

  • 陽だまり動物病院
  • 得意動物: 犬 猫 うさぎ   得意分野:総合診断獣医学 東洋医学
非再生性貧血ということですが、ステロイドやアトピカ(シクロス ポリン)で治療するのは、一般的に溶血性貧血、赤血球を自らの免疫が暴走して壊してしまう貧血です。暴走した免疫をステロイドやアトピカなどの免疫抑制剤で抑えて、赤血球が壊されないようにします。血液を壊す場所である脾臓を外科手術で摘出することもあります。この場合、骨髄で再生はしているのであれば、壊されないようになれば、貧血は改善していきます。非再生性貧血の場合、どうして再生していないのかによって治療法が異なります。材料が足りないのか、造血に関わるホルモンが足りないのか、骨髄炎など骨髄の機能そのものが落ちているのかなど。それによって、鉄剤、甲状腺ホルモンや造血ホルモンを投与したりしますが、確定には、ホルモンの測定や、骨髄検査(麻酔が必要な検査)が必要です。もしかしたら、溶血性貧血でかつ非再生性貧血というケースかもしれません。そうすると、かなり速いスピードで貧血が進行します。お薬を増量しても免疫抑制剤が効かず、どんどん壊され、また再生もされないとなると、あっという間にフラフラしはじめます。あまり予後に期待はもてないかもしれません。 ちなみに、アトピカは効果がでるまでに2週かかるといわれています。輸血は一時的に回復させますが、治療しているわけではありません。効果がでるまでの繋ぎ、または、手術を行う前の底上げで行います。人医療のように整備された血液バンクがありませんので、輸血にも限界があると思います。まずは再生されない原因にたいする治療が必要かと思います。検査をしても貧血の原因が特定されないこともあります。

ぺこちゃん

中井先生

お忙しい中詳細なお返事ありがとうございました。
確かに、骨髄検査もし、非再生性であり溶血性貧血であるとERの先生からも言われております。

苦しませたくないですが、安楽死を待たずして一気に容体が変化してしまうことの方が多いでしょうか。

2022/05/10 20:21

非再生性かつ溶血性のケースは、進行が速いと思います。免疫抑制剤の量や種類を増やして、溶血を止め、かつ再生を待つことになります。貧血の場合、進行すると、意識が朦朧としたり、酸素運搬能力の低下により、息苦しさを感じたりすると思いますが、激しい痛みは無いと思います。「安楽死」については、飼い主一人一人、獣医師一人一人の考え方があります。苦しむ前にと考える人もいれば、最後までそれを全く思いもしない人もいます。この仕事をしていると、時々、思いもよらない命の力を見ることがあります。もうダメだと思ってた症例が奇跡の復活

2022/05/11 03:30

をとげたり、検査結果からは食欲なんてあるはずない子が食べてくれたり。一方で、予測より速く進行してしまうことも。

2022/05/11 03:35

ぺこちゃん

中井先生

度々のお返事ありがとうございます。
病気というのは本当に人間と同じでわからないものですね。
飼い主としては奇跡を信じたいですがやはり獣医師の先生にご相談させていただくことで冷静になる部分もあり大変助けられました。
ありがとうございます。

2022/05/11 10:51