免疫介在性血小板減少症の治療方針について

2023/11/25 15:39

ルカリス

広島県・30代・選択しない

年齢 6 才 11 ヶ月
性別 メス(去勢・避妊済み)
品種
種別 トイプードル
詳細 体重3kg
いつから 11月1日から
相談時の体重 2.6kg
相談種別 その他

愛犬が免疫介在性血小板減少症と診断されました。血小板が思うように増えずに、かかりつけの先生と治療方針に巡って、意見の違いを感じました。以下の経緯を参考に、投薬の適正さと今後どうしたらいいのかアドバイスをいただけると幸いです。

10月末あたり、愛犬の足の付け根部分にあざを発見
11/1 かかりつけ医で血液検査。血小板は0.7万しかなかったので、免疫介在性血小板減少症と推定。その日に入院し、ステロイドの注射をして経過を見る
11/2 ステロイドが効かず逆に血小板が0になったので、入院延長
11/3 経過観察しかできないのであれば退院して通院治療させてほしいと懇願するも、なぜか入院費用の保険適用云々を理由に断られる
11/4 免疫グロブリン剤による点滴を行う(それはどういう薬でどういうリスクがあるのかとか一切説明されていない)
11/5 血液検査の結果、血小板が0.6万。どうしても退院させてほしいと懇願し続けてやっと退院させてもらえた。処方された薬は:シクラバンス 0.15ml/日、プレドニン錠5mg 1錠x2回/日、ファチモジン錠10mg 1/4錠x2回/日、ウルソデオキシコール酸錠50mg 1/2錠x2回/日
11/8 血液検査の結果血小板2.5万に。そのままの投薬で2週間様子見。
11/20 血小板が5.5万になりましたが、先生的には10万にまで回復するのが遅くてシクラバンスを今の倍にして更に2週間様子見。

質問1:5.5万はまだ少ないのはわかりますが、愛犬の肝臓数値が悪化、多飲多尿、筋力の低下(自力で階段も登れない)などなどが出て、薬を強くすることに強い不安を感じましたし、薬を増やさずにもう少し様子を見たいのは本音ですが、先生は副作用はすべて「仕方ないことだ」と言い、私が長い目で物事を見すぎていて眼の前のことを考えていないと言われて、正直今までのこともあり不信感を覚えて、傷ついています。増薬の判断は本当に適切だったかどうか、アドバイスを頂きたいです。
質問2:ネットでいろいろ事例を見ている中で、愛犬はステロイドと免疫抑制剤が他の子に比べて効果が出ていないように感じます。合わない薬を長期間、もしくは生涯与え続けることに強い違和感を覚えます。自分自身の病気に置き換えても同じ気持ちです。(実際先生におそらくこの子は一生ステロイドと言われました)しかし現在の医療ではそれしかできない、仕方がないと口癖のように先生が言います。いろいろ調べて漢方による治療は一定の効果があるとわかりました。かかりつけ医では漢方の治療ができないので、他のできるところと相談したいのですが、遠方にあるのと、今の先生と治療方針で意見が違うけれど日々の予防医療やお手入れなどでお世話になっているので、変な別れ方をしたくないというのもあります。漢方の病院と並行して治療したい旨をどういうふうにかかりつけ医に伝えたら角が立たずに受け入れてもらえるのか悩んでおり、伝え方のアドバイスを頂きたいです。もしくは受け入れてもらいたいなんて図々しいことであれば、きっぱり諦めて別の病院に行きます。

獣医師からの回答

ベスト
アンサー

宮 直人 日本獣医救急集中治療学会 RECOVER CPR受講

  • 奥沢すばる動物病院(東京都世田谷区奥沢)
  • 得意動物: 犬 猫  得意分野:呼吸器疾患 産科疾患 腫瘍疾患 救命救急
ルカリス様 まず、ご愛犬ちゃんが難しい病気となってしまった 事、誠にお辛い状況にある御心情お察しいたします。 病気の一般論として、以下の事をお伝えします。 ・免疫介在性血小板減少症 :自己免疫疾患であり、一般的には難治性疾患である。ただし、同じ名前の病気だとしてもその程度差(重症度)は症例ごとに著しく異なり、非常に免疫抑制剤の効果が乏しい症例などではDIC(播種性血管内凝固)など合併症を生じやすく生命の危険も危ぶまれる疾患である。 治療法は基本的にはグルココルチコイド(ステロイド)を中心に他の免疫抑制剤(シクロスポリン、ミコフェノール酸モフェチル、レフルノミド、アザチオプリン)を併用するプロトコールが最も治療成績がよく最も多くのエビデンスが上がっています。しかしながら100%の治癒を提示できる方法はまだ現状では皆無で、常に1症例ごとに効果判定をしながら最も効果の高い組み合わせを探していくのが治療方法となります。他に急性期にはヒト免疫グロブリン製剤を使用する事や、あまり投薬に反応がない場合には抗がん剤の1種であるビンクリスチンの投与などもエビデンスのある治療と言えます。 (参考までに論文のURLを1つ:https://actavetscand.biomedcentral.com/articles/10.1186/s13028-021-00620-z) しかしながら、時にステロイドに対して重篤な副作用が生じてしまい、治療効果との兼ね合いから使用継続に迷いを生じてしまうケースがある事はとても多くあります。使用に対するメリット・デメリットをよくよく検討した上で治療方針を決めるべき疾患だと考えられます。 ご質問に対しての返答ですが ①プレドニゾロン5mg 1錠/1日2回=3.3mg/kg/日 となります。一般的には2mg/kg/日 を免疫抑制量として考えるためかなり高用量と言えます。しかしながら、最大4mg/kg/日という論文も存在しており、効果があれば一定期間の使用にとどめ高用量投与は認められますが、その分副作用がきつくなるため、効果に乏しい場合には減量が考慮されるかと思われます。シクロスポリンに関しては5mg/kg/日であることからこちらは最大量である10mg\kg\日までの増量を検討できるかと思います。効果に乏しい場合には他の免疫抑制剤に変更することはありますが、いずれも副作用や効果の発現をよくよく観察しながらになります。 ②現状、漢方薬に関してネット上などではさまざまに取り上げられることがありますが、明確にエビデンスの存在する漢方薬というのは非常に乏しく(私の知る限りヒト肝臓癌に対しての生薬フアイアのみかと)、犬の免疫介在性疾患に対して明確なエビデンスはないものと判断しています。ただし、効果のあるなしに関して論じるわけではなく、症例によっては良い方向に導くこともあるためご使用に関してはご検討の上で対応されるのが良いかと思われます。 ここからは私見となってしまいますが、一般的な治療に反応が乏しい(免疫抑制剤を2種以上使用しても血小板が上がらない、副作用がきつい)場合に漢方の使用を検討されるのはごく標準的なお考えかと思います。その場合にはかかりつけ医の方に、やはり副作用の症状が見ていて辛いこと、その上で漢方治療も試してみたいことを伝え、今までの治療経過を出してもらえたら最良かと思われます。漢方以外には 幹細胞投与:https://actavetscand.biomedcentral.com/articles/10.1186/s13028-021-00620-z なども標準治療+αとして取り入れることがあります。 何卒、お大事になさってください。
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