脾臓腫瘍の手術を行うか否か

2023/08/20 20:10

愛知県・0代・

年齢 9 才 10 ヶ月
(正確な年齢は不明)
性別 メス(去勢・避妊済み)
品種
種別 ミニチュアシュナウザー
詳細 体重7〜8kg
いつから 2ヶ月前くらい
相談時の体重 8kg
相談種別 腫瘍・膿疱

2ヶ月ほど前から元気、食欲もなく夏バテだと思っていたが、1ヶ月くらい前からたまに嘔吐をするため病院に行ったところ脾臓腫瘍と診断されました。
脾臓以外にも腎臓に転移が見られている状態です。
あんずのコンディション的に良くなく貧血と言われた為、輸血してからの手術になるとの事でした。

あんずの体への負担を考えると手術を避けた方がいいのか答えが家族の中で出さず相談をさせていただきました。

手術以外に抗がん剤などで治療することは可能なのでしょうか?
抗がん剤の場合は副作用はどの程度出るのでしょうか
よろしくお願いいたします。

写真は7月17日に撮影したものです。

獣医師からの回答

ベスト
アンサー

吉川文貴 第1種放射線主任者

  • ぶんペットクリニック(愛知県岡崎市上和田町森崎)
  • 得意動物: 犬 猫  得意分野:腫瘍科
愛知県岡崎市ぶんペットクリニックの吉川と申します。 厳しい 内容も含み、申し訳ないですが、思ったことをお話しします。 1つの意見として考えてください。 もし腎臓に転移しているということが、事実なのであれば、脾臓の腫瘍は、血管肉腫の可能性が最も高いと思います。 もし血管肉腫で、腎臓転移もあるとなると、予後は1~3ヶ月という厳しいデータがあります。 外科手術をした後に、抗がん剤治療をした場合の、一般的な成績は、平均6ヶ月程度といわれています。ただし、これは、転移をしていない子も含めてなので、転移をしている場合、この成績よりも落ちる可能性が高く、3ヶ月程度と考えられています。 現在の貧血が、脾臓の腫瘍の出血によるものであれば、脾臓の腫瘍がなくなれば、貧血は改善する可能性があります。 ただし、ほかの転移病変の影響で貧血がある場合、手術で脾臓腫瘍を摘出した後も、貧血は進行して、改善しない可能性もあります。 特に、腎臓から出血を始めた場合には、尿から出血がとまらなくなり、急激に貧血が進んでしまうことも経験があります。 もちろん、血管肉腫でない別の脾臓腫瘍である可能性もあります。そして、腎臓は別の病変の可能性も否定はできないです。 診断をつけるためには、手術で摘出するしか難しいため、しっかり治療を考えていく上では、 手術で脾臓を摘出し、診断をつけた上で、その後必要な治療の選択肢を考えていくのが最もしっかりした治療となると考えられます。 手術をするという選択も、重要な決断です。 ただし、手術を考えていく場合には、上記のリスク、データを承知の上で、実施していく必要があるということです。 抗がん剤治療は、血管肉腫の場合、ドキソルビシンという抗がん剤が中心になると思います。 ドキソルビシンの副作用は、 ①消化器症状 ②骨髄症状 ③心臓への負荷 ④血管外漏出による皮膚障害 ⑤アレルギー が主な副作用です。 ③、④、⑤に関しては、気をつけてやっていけば問題になることは少ないです。 ①、②の副作用に関しては、個体差がありますが、出てしまう子も半分くらいいると思います。 ただし、わんちゃんの抗がん剤治療は、 緩和治療 としての役割が大きいため、副作用をできるだけ減らして、負担の少ないように実施していくことが多いです。 この辺りは抗がん剤を投与する獣医師のさじ加減にもよるかと思います。 今回重要なのは、抗がん剤をして、どれだけ効果が見込めるかということです。血管肉腫に対しる抗がん剤は、ある程度効果があるものの、十分に効果が強い、抗がん剤とは言い難いレベルの効果に留まることが多いです。 それこそ、抗がん剤がしっかり効くと、病変が消え失せるまでにしっかり効くこともありますが、 血管肉腫の抗がん剤の場合は、治療することで、進行を少し遅らせたり、病変が大きくなるのをとどめたりというような効果に留まることが多いです。 いつも、脾臓腫瘍で、血管肉腫が疑われるような方にお話ししているのは、(脾臓の血管肉腫の場合、腹腔内出血で来院されることが多いので、)脾臓を摘出すれば、出血は治る可能性が高く、今現状の症状を改善させてあげることができます、そのうち、転移をしてまた出血がコントロールできなくなる可能性は高いですが、それまでは少なくとも、穏やかに過ごせる可能性が高くなるといった内容です。 今回、腎臓の転移があると、腎臓からの出血がコントロールできなくなり、手術をする意義(予後の延長や、症状の改善)がどれだけ得られるか自信が持てません。 そのため、手術や抗がん剤は、なかなか厳しい選択となると思われます。 私自身は、画像検査や、身体検査をしているわけではなく、情報からのみでお話ししているため、場合によっては、そもそも、腎臓の転移ではないかもしれませんし、推察に間違いが含まれている可能性もあります。一つの意見として受け取ってください。 少しでも、ご参考になれば幸いです。
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