竹下恭平 獣医腫瘍科認定医Ⅱ種
- 多摩中央どうぶつ病院
- 得意動物: 犬 猫 得意分野:腫瘍/画像診断/救急医療/臨床病理
はじめまして、多摩中央どうぶつ病院の竹下と申します。
下顎
犬歯の不正咬合ですが、投稿写真を拝見するに、右下顎犬歯が前方やや外側に変位しているとお見受けします。
閉口時に口唇を巻き込んでおり、口唇が赤くなっているとのことですので、今後口唇の炎症(びらん、潰瘍化)が進んでしまう可能性がありますが、5ヶ月齢ですので成長に併せた変化が生じてくると思います。
成長に併せ右下顎犬歯の口唇への接触がより悪化するか、それとも良化するか、あるいは変わらないかを見定めてから抜歯を検討するのも選択肢と考えます。
抜歯のリスクについてですが、犬歯は歯根(歯の根っこ部分)が長く、かつ、歯周疾患を伴わない健常な歯を抜くためには技術や専用器具を要するため、処置中の破折により残根(歯の根っこを残してしまうことで、逆に歯周疾患を生じやすくなる)となるリスクや、下顎骨骨折のリスクを伴います。このようなリスクを考慮すると、抜歯する場合には、去勢手術と同時ではなく、経験や設備の整った歯科(口腔)を得意としている病院で実施されるのが良いと考えます。
なお、下顎犬歯を抜歯した場合、抜歯側の口腔外へ舌が垂れる可能性がありますが、通常、食事や飲水機能に影響はでません。
2022/11/05 14:54
竹下先生
ご回答ありがとうございます。
詳しいご説明ありがとうございます。
まだ5ヶ月なのでまだ成長の変化が生じるということ、失念しておりました。
小さい頃の方が、、、と考え、決断を急ぎすぎていたかもしれません。
処置中の破折により残根というリスクもやはりあるのですね。
あまり急ぎすぎず、もう少し成長の状態を見ながら、長い目で観察し、
かかりつけ医の先生と今後の対策を相談し判断していこうと思います。
お忙しいところ、貴重なお時間いただきましてありがとうございます。
心より感謝申し上げます。