アンサー
柳 和良 RECOVER BLS & ALS Rescuer course 心肺蘇生実技講
- マルクペットクリニック
- 得意動物: 犬 猫 得意分野:麻酔外科・外科全般
初めまして。獣医師の柳と申します。
私も、麻酔専門医の
ような立ち位置ではありませんが、ご参考までに。
当方では、比較的12歳から16歳の小型犬や猫、10歳以上の大型犬に対する麻酔処置が多く、
もし何かのお役に立てればと思い経験則も含めてお話しさせていただきます。
麻酔に関しては、“100%安全”ということはありません。
ただあくまで100%でないだけで、経験値としては99%を大きく超える確率で問題なく回復しております。
当然、その子の種類によって好発される病気(現在症状を示しているか、既往歴があるかどうかに関係なく)を念頭に置きつつ、
現在本人が抱えている、血液検査上で見つかった異常値、体力、既往歴と今回の処置内容を踏まえて検討します。
また、それら全部の情報が出そろって初めて、使用する麻酔薬の種類や投与量・投与方法を決定いたします。
そうすることで、術中は比較的安定した状態ができ、回復が早く、負担の少ない麻酔がかけられるように思います。
そのため、その子に合わせた形でのやり方を考えれば、
”絶対!確実に!100%”ということは口が裂けても言えませんが、さほど怖がるものではないと思っています。
現状、好中球数が低めということですが、総白血球数やその他の数字はいかがでしょうか?
好中球数が低いこと=麻酔のリスクが高くなるということは、あまり考えたことはありませんが、”念のため”考慮には入れるかと思います。
ですが、それとは別にヘマトクリット値が高過ぎることや低すぎること、アルブミン値が低いことは、積極的かつ充分に思案したうえで実施の可否を検討します。
麻酔のリスクの問題ですが、一般的に皆さんにお話しするのは、薬との相性による術中死のリスクと周術期(術後)の合併症。
後者のリスクが一番かと思います。
術後膵炎・血栓症・術後投薬による副作用など、術前から術後までそれぞれにおいて注意すべきポイントを抑えたうえで早期発見・早期治療を行うことはとても大事です。
ただ怖がるようなものではないように感じています。
歯石に対する回答は、津田先生からのご返答をご参考にしていただけたらと思います。
ただ、私のほうからは一点だけ。
無麻酔での歯石処置だと、歯周ポケットという歯と歯茎の隙間に隠れた歯石やバイオフィルムの処置は難しく、
また、動いたりした際に歯の表面を傷つけるリスクもありますので、治療効果としては低くあまりお勧めはしません。
2022/06/21 19:43