アンサー
宮 直人 日本獣医救急集中治療学会 RECOVER CPR受講
- 奥沢すばる動物病院
- 得意動物: 犬 猫 得意分野:呼吸器疾患 産科疾患 腫瘍疾患 救命救急
東京都で開業医をしております宮と申します。
まずは翔馬様の
ご愛犬ちゃんに謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
非常に詳細に記載をいただいておりますが、経過のみでは分かり得ない情報も多いためあくまで仮定としていくつか突然死の要因を考えさせてもらいたいと思います。
①吐瀉物の誤嚥による窒息
→かなり重度の吐き気がご様子からは見てとれます。胃内にはあまり食渣などの残存はなかったかもしれませんが、胃液そのものが粘稠度が高くなることもあり、それが気管や気管支などに詰まってしまうと窒息を生じる恐れはあるかと思います。
②急性膵炎ならびに血栓症
→かなり重度の吐き気の原因として、若齢であることや犬種などから急性膵炎という病気も考えられます。この病気は急に生じ、強い吐き気、お腹の痛み、強い炎症を特徴とします。また、強い炎症に伴い体を流れる血液にも影響を及ぼします。血管の中で血液の塊ができてしまいどこかの臓器で詰まってしまうことを血栓症と言いますが、急性膵炎の発症時にはこの血栓症などを生じるリスクが高くなってしまいます。血栓を生じた臓器が脳や心臓などであれば脳梗塞、心筋梗塞となり突然死を生じる可能性は十分に考えられるかと思います。
③感染性疾患
→こちらは質問者様の地域がどこかで変わる内容ではありますので地元の獣医さんからお話がなかったのであればおそらく可能性は低いかと思われます。
例えば、近年はSFTS(重症熱性血小板減少症候群)などの比較的致命率の高い疾患(犬は29%くらいの致死率)がマダニ感染などを介して広がってきています。この疾患では発熱、元気・食欲低下、嘔吐、下痢などがよく認められる症状になります。突然死を生じ得るか否かは判断のつきづらいところにはなりますが、一応、鑑別として挙げさせていただきます。
ほかにも突然死という現象のみを捉えれば、脳疾患(脳出血、脳炎など)、心疾患(フィラリア症、先天性心疾患)などが考慮されますが、いずれも質問者様のご説明にある状況にからは合致しない部分が多く、鑑別からは除外しております。
最後に、突然のご愛犬の不幸に際し、ご家族の皆様の悲しみはとても深いものと察します。その中でせめて原因だけでもと思われる翔馬様の思いに触れ、今回、稚拙ながら回答をさせていただきました。あくまで自分の意見として思うことを述べたに過ぎないため、正否を決しているわけではないことは重ねてお伝えさせていただきます。
2022/06/08 09:36
お忙しい中ご回答ありがとうございます。まだ5歳ということもあり、どうか原因だけでもと思い相談させていただきました。妹によると窒息など苦しそうにしていることは一切なく呼吸が荒くなったりもなかったそうなのですが、やはり最後は苦しかったのでしょうか?